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Photo by Kenji Kubo

 ほんっとに、待ちこがれていたよ。昨年11月以来のワンマン、そして東京では2004年初のライヴ。前回のワンマンから4カ月というブランクは、他のバンドと比べればさほど長い期間ではないかもしれない。しかし、2003年のライヴラッシュに慣れてしまったピールアウトファンにしてみれば、贅沢だけど、禁断症状がでそうなくらい長い時間だったのだ。2004年に入ってから、名古屋、大阪では激ロックシンポジウムが開催されていたし、HPではインタビューが公開されたりして、今のピールアウトがどんな感じなのか伝えられてはいた。けれど、やはりワンマンという100%バンドの色が出る場所で体感しないと始まらないでしょ!というのが正直な気持ちだったと思う。2004年4月3日に見たのはそんな期待に200%応えてくれたライヴだった。
 "peal OF YOUTH"と書かれたバナーがたなびくステージにまずは高橋さん一人が上がり、SEに合わせてドラムを叩き始める。そのリズムにのって近藤、岡崎両氏が登場しセットに着く。太陽が急に昇ってきたかのようなまぶしい光が会場を照らすと、同時にピアノの音が鳴り響き、いきなりの『爆裂世界』で"響音狂鳴 '04"は幕を開けた。続いて、間髪入れずに「SHOUT COOL! DANCE FOOL!!」のシャウトから始まったのは『新曲3』。真っ赤なスポットライトが照らす熱っぽいステージから発信される狂信的な音は、聴いたはじから頭にメロディが刻み込まれる力を持っている。次のライヴでやる時はフロアに大きな嵐が起こるのだろう、きっと。
 ここで少し触れておきたいのが、今回のライヴを華やかにしている要因のひとつにクアトロの音とライティングの素晴らしさがあるということだ。個々の出す

音はもちろん、『PLANET ANIMALS』のアニマルヴォイスはいつもよりクリアに響いていたし、後半にやった『静かな奇跡(CHAPTER1)』でのスペーシーな雰囲気はクアトロならではの演出だった。小さめのハコでやる荒っぽいライヴ感も好きだが、こういう整った環境の下でワンマンを堪能できるというのは幸せなことだと思う。
 『PLANET ANIMALS』『15人の漂流者(新曲1)』『Life』と続いたピアノセットからチェンジしたギターセット。途中で『Be』の歌詞が入ってまたもとに戻るアレンジの『心臓が動き出すとき』や『新曲4』など、見どころはたくさんあったのだが、個人的に強烈に印象に残った曲がある。「去年の3月からずっと続いてます。4月の旅人」といって始まった『APRIL PASSENGER』と「10年前に3人で初めてあわせた曲です」と紹介された『FEEL』だ。10年前にこの曲をやった時のピールアウトは、そして奏でた音はどんな風だったのだろうか? それは知るよしもないことだけれど、きっと見た目も音も大分変わっているのだろう。でも、今、目の前にいるのが同じ3人で、この曲が人の心にいつまでもとどまる名曲だということに変わりはない。ライヴの瞬間はあっという間に過ぎていってしまうけれど、その時に感じた思いは半永久的に残っていく。今日のこの時もきっとそうなるのだろうな、と思いなんだかジーンとしてしまった。
 中盤戦には久々にサポートベース江崎氏が入って、フォーメーション4へ。『沈黙の開拓者』で感情を突き動かされた後は、『STAY FREE』、ギターを置いた近藤さんが観客を煽りまくった『SIVER CHEERS』で容赦なく身体を動かさ

れる。ピアノセットに戻ってからも、もう走り出した勢いは止まらない。最後の『ラインを越えて』まで加速して加速して、そのままのスピードでゴールに飛び込んでいった。
 しかし、猛スピードで突っ走っているのだから急に止まれるはずもない。そのままアンコールに突入だ。この時にNewTシャツの紹介があったのだが、Tシャツを着た岡崎さんがモデル歩きを始めて、会場から笑いがおこるというシーンがあった。これは今までのピールアウトではあり得なかったフランクな一幕だったのでは!? 『GOD KNOWS I'M PROBABLY A SIN』『JET DESIRE』が終わって、メンバーはステージから消え、客電も付き始めていた。が、フロアからの拍手は止まらない。これで終わりにしたくない、いや絶対に終わらせない!という気持ちのこもったアンコールだったと思う。その気持ちは届いたらしい。再びメンバーがステージに現れ、近藤さんが「これ聴かないと帰れんやろ?」と言って始まったのは『BEAT FOR YOUR RIGHT』! この日最大の熱狂の渦、そして一体感…。また忘れられない瞬間を創ってライヴは幕を閉じた。
 前回のワンマンは秋の終わり、本格的な寒さが忍び寄ってきていた。それから冬を越えて、桜が満開になる季節になった。ピールアウトはまた進化して変化していた。それを受けるファンの反応も変わった(と思う)。これからは新しいイベントもあるし、9月にはアルバムも発売されるしで、前に進んでいくことばかりだ。その中でピールアウトと周りの人達も一緒になって、プラスの化学反応を起こしていけたら最高だな。汗と笑顔にまみれたライヴ後の会場を見ながらそう思った。
(writer 輪千 希美)

04.4.3.(SAT) at shibuya CLUB QUATTRO, 渋谷
PEALOUT ワンマンライブ“響音狂鳴 '04”

1.爆裂世界
2.新曲3
3.PLANET ANIMALS
4.新曲1
5.LIFE
6.APRIL PASSENGER
7.QUEST
8.FEEL
9.AGAINST
10.心臓が動き出すとき
11.新曲4
12.沈黙の開拓者
13.STAY FREE
14.THE SHIVER CHEERS
15.静かな奇跡(CHAPTER 1)〜
PIANOMAN R&R SHAKE,SHAKE,SHAKES.
16.HEIDI
17.新曲2
18.GOODBYEBLE
19.ラインを越えて (※THE BLUE HEARTS)
(M12〜M14 BASS:江崎典利 from RUMTAG)
〜 ENCORE 1 〜
1.GOD KNOWS I'M PROBABLY A SIN
2.JET DESIRE
〜 ENCORE 2 〜
1.BEAT FOR YOUR RIGHT