――セットリストの流れ的なものは?
岡崎
流れはすごく考えるね。詞も含めた世界観、かな。
  ――1曲目を大事にするか、最後の曲を大事にするかっていうのはありますか?
岡崎
いや、どっちも大事だけど、もちろん中間も大事なんだけど。まぁアタマから盛り上がりたいってい
  うのはどうしてもあるけど、そこにあえて1曲目からアコースティックで入ったライブもあるし、ド
  ンケツで「FEEL」のアコースティックをやったロフトのライブもあるしね。そういうところ、天の
  邪鬼だからね。毎回そういう意識はあって、必ずしも最初から激しくやって、中盤で静かなのやって、
  ケツで盛り上がるライブだと思ったらオオマチガイ! たまに裏切るからね。その裏切りが好きな
  の、うん(笑)。
  ――あと続いてるライブだと、この日はピアノをやったら、次の日はギターセットとか。
岡崎
あぁそういうのもあるかもね。それは自分らが新鮮でいたいからって部分も正直ある。そういう意味
  じゃさ、去年のツアーは物凄い画期的じゃない? まぁ全国、全部のライブを観に来た人とかいない
  と思うけど、正味50曲近くの曲を全部バラかしてやったわけ、結果的にはね。でもそれだけストッ
  ク持ってたいのよ。自分らの中でやろうと思ってる曲は、すぐ演ってくれって言われて、常にパッと
  演れるスタンスでいたいから。
  ――会場からリクエストの声が上がったらすぐ演れるとか? でもなかなかピールアウトのお客さん、
  声かけないから。
岡崎
もう、そういうのダメ!! 「なんかヤレ!」って言わなきゃさ、普通さぁ! なんでだまってるん
  だろうねぇ、曲間シーンとしててね。「はやくヤレよ、この野郎!」とか、そういうのでもいいと思
  うんだけどね。
  ――チャチャを入れたり、声をかける雰囲気じゃない、みたいな。
岡崎
それを打破するために、僕は人をステージに上げるようにしたんですけど。
  ――岡崎さんやってますよね。お客さんをステージに上げたり、自分がフロアに下りたり。
岡崎
うん。高橋くんがよくダイヴするけどね、客席にね。このあいだも終わってからダイヴするから(笑
  )。でもそれはそれでいいんじゃない? その雰囲気はたぶん近藤が作ってきた世界観だから。あえ
  て崩そうっていうんじゃなくて、こういう方法もありじゃないの?って。ひとつのルールだけじゃ面
  白くないし、ワンパターンになったら演ってる方も、観てる方も面白くないから。まぁ無理の無い範
  囲で、客がステージに上がってくるのもマイクとるのも、全然そんなのはライブでは面白いハプニン
  グなんだからさ。ピールアウトを壊したとしても一瞬じゃん、そんなもん。って俺は思うけどね。世
  界観って、俺はそんなに重要視してないから。もっと違うとこで伝わってくれれば。もうちょっとラ
  イブは、何が起こるかわかんない楽しさはあってもいいと思う。俺がボーカルとるとかね、急に。
   
――岡崎さんはライブでギターとベースを持ち換えてますけど、ギタリストがベースを弾くことにつ
  いては。
岡崎
だって俺が弾きたいって言ったんだもん。よく言われるんですけど、その質問。
  ――ベースが弾きたかったんですか?
岡崎
そうそう、弾きたかったのよ。俺のベースはどんなもんかなぁって。ベースってほんとはバンドで一
  番重要なわけ。だから単純にピアノのバンドを作りたかったの、もう一個。ピールアウトとして。や
  っぱそのモードになったわけよ「爆裂世界」をやったときに。そのときにベース弾きたかったってい
  うのもあるし、それしかやりようが無いんだよね。ベースが抜けたらサウンドにならないから。ギタ
  ー・ピアノ・ドラムだけだと、ダメなのよ。いまではわりとパッパと気持ちを切り換えて、ベースに
  なれば、よりドラムに意識がいくとかね。ただベースのがアグレッシブになってしまうんで…ベース
  のがミスが目立つからね(笑)。けっこう、ドワーっとやっちゃってるからねぇ。
  ――ライブ中に意識してることとかありますか?
岡崎
音ってね、ステージからこう出てるのが見えんのよ、線みたいのが。見えるっていうか感じるってい
  うか。
  ――へええ(笑)。
岡崎
その波に気持ちを乗せるってこと。パーンと弾いてガーンと出たときに、ステージから並行にドーン
  と波が出るのね、それにこう乗ってるカンジ?(笑) そうすると客の顔が見えて、PAの卓があっ
  て、ライブハウスの一番奥の壁があって、それでまた戻ってくるのよ。自分の気持ちが行って、すぐ
  戻ってくる。この奥行きはそのハコによって違うんだけど、その波の反復っていうか、繰り返しなの、
  気持ちの中では。さすがにフジロックのときは遠くて、返って来なかったけどね(笑)。ヒューっ
  て、ずーっと行っちゃって。
  ――それはステージにいる人じゃないとわからない感覚ですね。
岡崎
かもしれないね。あ、でもそうしようと思ったのよ。初期のピールアウトは垂流しだったからね、客
  が乗ろうが乗るまいが、壁作ってたから。もう「one」あたりまでは。さすがにギター壊したりはし
  なかったけど。でもそれがだんだん、やっぱピアノをやるようになって、音を表現するという意識を
  物凄い持つようになったからね。
   
――いままでで最高なライブってことで、思い出すライブは?
岡崎
渋谷クアトロは、(過去のライブの記憶が)けっこう重なっちゃうんだよね。何回もやってるからね、
  ワンマンを。でもクアトロは、相性いいからね。
  ――2004年一発目のワンマンを渋谷クアトロでっていうのは、その辺もあるんですか?
岡崎
うん、自分らでハズレはないから。思いっ切りやれるだろうっていう。昔は西新宿のロフトっていう
  のもあって、そこも凄い相性良かったのね。なんかいろいろできちゃうんだよ、不思議とね。ステー
  ジから見た、俺の前の柱が邪魔だけどね。
  ――岡崎さん前に行こうとしたら、柱とステージの間の狭い空間に行かないと。
岡崎
そうそう。そこは特等席だよ、俺にとっても。よーく見える、三列しかないから。
  ――さて、クアトロワンマンはどんな展開に?
岡崎
予告としては、やっぱり新曲がどのぐらいやれるか、だよね。一応10曲ぐらいはやりたいなと思っ
  てるから(笑)。
  ――ええー!アルバムの曲、全部聴けるかも?みたいな。
岡崎
全部とは言わないけど、8割ぐらい披露したいなぁ。まぁ試す俺らはけっこう緊張感あるんだけど、
  その緊張感が逆に楽しいのよ。初めて演るっていうのは、それ一回しかないからね。それでね、知ら
  ない曲だからノリ悪くても一向に構わないけど、それはそれでしょうがない。でも新曲もまぁ楽しみ
  のひとつなんだけど、ずーっと進んできてるピールアウトの、ちょっとずつ変わってきてる世界観と
  かさ、近藤の声だったりとかさ、どうしようもない爆音過ぎる音の波の中に入っていくとかさ。そう
  いうとこにもうちょっと身をゆだねて、あんまり型にはまらず、そういうのを軽く楽しんでほしいな
  ぁって。新曲だからって構えてほしくないし、素直に反応してくれれば。まぁでも驚かせちゃうと固
  まっちゃうかもしれないけどねー。
  ――でもクアトロは本当にみんな楽しみにしてると思うんですよ。
岡崎
去年のクアトロ、Que、シェルター、251ってワンマンをやってきてさ、客がなにを楽しみに来てる
  んだろうとか、けっこう見てないようで見てたっていうか、感じれたんだよね。そんなかで、俺ん中
  では物足りない部分もあったし、なんかみんなまだまだ周りを気にしてんだろうなぁ、と思うことも
  ある。思いっきり歌っている人もいれば、静かに聴いてる人もいる。そういうバラバラなのはいいん
  だけども、もっとこう、ひとりひとりはみだしてもいいんじゃない?っていうカンジ。せっかくピー
  ルアウトも変わってくるんだから、クアトロでは遠慮なく。さすがに俺、ベース持ったまま下りてい
  けないかもしれないからね。わかんない、近藤さんは下りてくるかもしれないな。
  ――あ、柵があるから。
岡崎
でもそんな、飛び越えられる距離だから。あのフジロックの江崎くんのダイビングにしたらもう。よ
  く飛んだなという距離だもんね。だからそういう意味で曲もそうだし、雰囲気も今度こそなにが起こ
  るか、あんまりシナリオが見えない。お客さんにとってもそうだろうし、俺達自身がそういう風にな
  れるような、セットリスト組みたいなぁと思う。一応モード的にはそういう風にしようと思ってる、
  うん。
   

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