岡崎
ピールアウトのフライヤー、Tシャツおよびホームページのデザインをしてくれている、“STAR
SIGN GRAPHICS!”こと今福康仁くんに来てもらってます。彼とは音楽の趣味だとか、僕もデザイン
  学校をめざしてた経歴があるんで(笑)、その辺でも意気投合したというのがあって、いろいろやっ
てもらったんだけど。そもそも高橋との方が先なんだよね?
今福
そうッスね。CLUB CLASHのTシャツとチラシ作って。それからなんですよ。
  ――ホームページ制作担当は、岡崎さんなんですか?
岡崎
そう。本当は最初、他に手伝ってくれる人がいたんだけど、その人があまりにも仕事が忙しくて話が
  全然進まないうちに、高橋が今福くんを紹介してくれて。で、最初に逢って打ち合わせして、音楽の
  話してるあいだに、あっという間に「あ、近いじゃん」って。まずスマパンの話で、もう延々と盛り
  上がったからね。
今福
スマパン、大好きですからね(笑)。
  ――ホームページがリニューアルしたのは。
岡崎
(2003年)4月1日付けで。
今福
実質的に3月31日には、確かアップしました。
岡崎
ってクアトロやった日だよね。まぁレーベルとも切れ、事務所とも切れて、自分らだけで活動するよ
  うになったっていうのが、ちょうど去年のクアトロの日なんで。それでどうせ作るならカッコイイホ
  ームページを作りたかったから、音楽もデザインもわかる彼がみつかったんで、すぐ打ち合わせして、
こういうカンジにしたいってことを俺が伝えて。俺が担当ってわけじゃないんだけど、デザインと
  か好きなんで、やらしてってメンバーに言って。
今福
最初はけっこうすんなりいきましたよね、アップまでは。
岡崎
うん、アップまでは早かった。そんなにこう線引いて「こうやってくれ」とか、そういうのじゃなく
て、もう根本の、ある程度イメージ言っただけでラフで出してきてくれたwebのデザインがすごく良
かったから「あぁ、この人でいいや」って俺は思った。けっこう意外にデザインが繊細ね!
今福
ホントですか?(笑)
岡崎
意外にって言ったら失礼だけど(笑)。ちゃんとココがこうなってって、すごい端っこのところにも
  意味があるみたいなカンジが、たぶん好きなんじゃないかな。俺自身もそういうデザインが好きで。
今福
僕が作って良いと思ったものって、けっこう岡崎さんもすごい気に入ってくれたりするんで。前のチ
  ラシとかもそうだったし。
岡崎
あ、そうだね。いくつかデザインがあって、俺が良いなと思うものが「今福くん、本当は一番押して
  るのどれ?」って聞くとおんなじだったりする。けっこうでも他に言えないけど、いろんなバンドを
  やってるんだよね?
今福
ハイ。
  ――ピールアウトのホームページのデザインのポイントは?
今福
ポイント?“岡崎さん喜ぶかなぁ”って(笑)。
岡崎
おーい。
今福
もうホームページは見やすくてナンボだと思うから。見やすくて操作しやすいところ、そこかなぁ。
岡崎
かつデザインがカッコイイってことだからね。その機能性とやっぱり色合いも含めて、ある程度ピー
  ルアウトをわかってもらわないと困るわけよ、作ってもらうには。最初のラフが上がってきたときに
  「あ、この人けっこうわかってる」って。
   
――ライブごとにレポートをアップしたり、意外とマメに更新されていますが。
今福
うん、してますねぇ(笑)。
  ――そういうのはどういう仕組みで。
岡崎
こっちからは文字情報だけを送るだけだから。レポに関してもデザインは任してるし。最初は、仮で
  (ネット上に)上げといて、気になるとこを言ってたけど、最近はもう任せてる。
今福
メンバーと僕にしか知らないページがあるんですよ(笑)。
  ――そこで見てチェックする?
岡崎
そうそうそう(笑)。すごい複雑なアドレスでさ。それを一回俺ね、どこだっけなぁ、ツアー中で地
  方に行って、イベンターの事務所に行って「ちょっとノート借りますよー」とか言ってカチャカチャ
  やって、メモってったのを一個一個打って、ちゃんとあの仮ページにいってチェックして。それでメ
ールして「じゃこれでアップしといて」とか。
  ――ツアー中にチェック! へええ。案外そういうのを駆使してるバンドなんですね?(笑)
岡崎
そう、いまはね。いままでやんなかったからね、そういうとこも人任せだったし。やりだすとやっぱ
  楽しいよ。ホームページでもそれなりにピールアウトっていうものを感じてほしいしさ、来た人に。
  やっぱりデザインも譲れない部分があるからさ。うん。ただここでひとつ謝らなけりゃいけないこと
  は、「MEMBER’S COMMENT」を早くしろと。
  ――それ絶対突っ込もうと思ってました(笑)。
岡崎
まぁそれなりに忙しいということで。でも近々、僕のページはアップしますよね。
今福
やってます。
岡崎
あと、ちゃんとコンプリートなバイオグラフィーをね。写真入りの年表を。
  ――写真入り!(笑)
岡崎
うん、古い写真とか。バイオグラフィーに関しては元があるから、それにメンバーが手を加えて。た
ぶん高橋が全部日記を書いてるから、こまかい情報までを。あと写真を照らし合わせて、これがこの
ときのライブの写真とか、この時期のアーティスト写真とかあれば、もうちょっと絵でわかる。
今福
でも10年はけっこう長いッスよねぇ〜(苦笑)。
岡崎
恐ろしくなってきた?(笑)
今福
ちょっとビックリしましたね(笑)。でも大丈夫ッスよ。
   
岡崎
最近はなんか良い音源ありますか?っていう会話をしたいかもしれない。
今福
いや、僕、なんかCHARAにハマっちゃってて(笑)。
岡崎
あ、CHARAは良いよねぇ。
今福
CHARAかわいいなぁと思って。
岡崎
あ、かわいいな、かよ!(笑)
今福
ははは。いや歌と、やっぱ容姿もイイなぁ。癒されてんですよ。洋楽…洋楽って最近パッとしないッ
  スよねぇ。
岡崎
でもまたなんか、ギターバンドがいっぱい出てきそうな気配。そうだなぁ…。あ、でも俺的には今福
  くんに誕生日プレゼントでもらったR.E.MのベストのDVDが、もうバイブルですわ。ものすごい良く
  て。
今福
へえ良かった。そのちょっと前に「スマパンとR.E.M、どっち好きッスか?」って軽く聞いといて。
  「それはもうR.E.Mだよ」とか言われたから、じゃあ絶対これだ、と思って(笑)。
岡崎
「格が違うよ!」とか言っちゃったよね、俺ね(笑)。まぁR.E.Mに関しては、ビートルズと並ぶぐ
  らい好きだからね。ちょっと別格なんだよね。それがまた良くてねぇ。南アフリカ共和国・救済コン
  サートっていうのが、何年か前にイギリスであったんだけど、そのフェスから3曲ぐらい入ってんの!
  「MAN ON THE MOON」、すっごいテンポ速いんだけど。なんか野外の公園、代々木公園かなんか、
  ああいうところでやってんだけど、すっごい盛り上がってんのよ、もう。
今福
へええ、いいッスね。
岡崎
イギリスの人もこういうのを期待してるんだ。ああいう言わばさ、アメリカで政治的なことを歌い出
  したのって、ポップミュージックに関しては、R.E.Mが最初かもしれない。そういうスタンスで、歌
  詞は違えど、いまもポリティカルなメッセージも込めつつ歌い続けて、そういうコンサートに出たり。
  ホワイトハウスの前で、ブッシュに抗議するデモの中で歌ったりとかね。トム・ヨークもしかり。
じゃあ自分になにができるだろうとか、冷静に、普通に考えるよね。
今福
なんかアメリカバンドって、そういうの多いッスよね。
岡崎
アメリカは多いよね。だから意外に、あれだけ勝手に大義名分作って戦争してるけど、アメリカにも
  反米感情持ってる人、物凄くいるらしい。ロックシーンだけじゃなく。アメリカもね、なんか社会問
  題あるとすぐデモしたり、瞬時にリアクション起こすよね。ああいうのがすごいなぁって。日本だと
  ちょっと煙たがられたり、デモ行進を見て、はぁ〜って思う人が普通なんだろうけど。せめて音楽に
  関してはね、もうちょっとさらっとね、“小泉おかしいんじゃないの?”っていうことを言ったらさ
  (笑)。別に引かれることもなくね、普通に。そういうことを言える人が増える音楽シーンであって
  ほしいなってカンジがする。だってそれ、どうあがいても事実だからね。
今福
そうッスね。
岡崎
だから単に洋楽洋楽って、そういう風じゃなくて、そういうスタンス的なところを学ばなきゃいけな
  いんだろうなっていう気はするけど。洋楽に関してはね。音楽で言えば、日本のロックなんかもっと
  面白いモノ、いまはたくさんあると思うし、より個性的なバンドっていうのは、いっぱいいると思う
  しね。
   
岡崎
たまに「こういう曲、あったら聴きたいなぁ」とか言ってくれるよね、今福くんね。素直になんか思
ったことを言うの。「新曲、こういうの作ってください」(笑)。
今福
あぁ言いましたね(笑)。「超短くて激しいの、どうスか?」みたいな。
岡崎
とかまぁ気軽に話せる仲にナリマシタ。でもこれから独立してデザイナーとしてひとりで。
今福
そうッスね。険しいけど。もうちょい自由でやっていきたいっていうのがあって。自分の時間も必要
  だし。
岡崎
だって、カッコイイことそのままやりたいだけだからね。それが一番だよね。
今福
そうなんですよね。やりたくないことやりたくないし。無理してやると、すごい疲れるんスよね。僕
  、デザイナーやろうと思ったのなんか、すごい遅いッスからね。デザイナーって職業があるのもあん
  ま知らなかったからね。23〜24才ぐらいから学んで、会社入ってやっただけなんで、ほんと3〜4年
ぐらいの実績しかない。
岡崎
すごいよ、俺から見たら。高校んときに俺、大学あきらめて、デザイン好きだったからデザインの勉
強して、某デザイン専門学校を受けたら、まんまと落っこって。デザインの業界はキビシイんだ、っ
  て思い知らされて。その反動かわからないけど、もう音楽しかなかったからね、残った道はね。
今福
僕は音楽がすごい好きで。バンドやってて、ギターやってたんスけど、限界があったんですよね。僕
  にはこれ以上、絶対にできないっていうのがあって。
岡崎
まったくケース逆だね。
今福
うん。したら何ができると考えたら、CDのジャケットとか見て、俺にもできそうって簡単に思っち
  ゃって。それが始まりッスね。
岡崎
あぁでも、できそうって思ったのは一緒かもね。俺も、音楽できそうと思ったもん。こうしたらイイ
  曲かけそうだなぁって。どっかに自信あんだろうね。
  ――今福くんの、今後の野望は?
岡崎
聞きたいね、デザイナーとしての。
今福
野望ねぇ。なんだろう? でもすごい自分が気に入ったものが一個できたら、デザイナーもう辞めて
  もいいかなぁって思ったりするときもある。
岡崎
お、お、お! 近いってだから!うん。
今福
だから別に、デザイナーに執着してるってところも、あんま無いッスね。
岡崎
じゃあ一個すっごいのを作りたいっていうのが、当面の目標だ。
今福
ちょうど去年の4月ぐらいに個展をやろうと思ってて。忙しくてできなかったから、これからそれを
  ちょっとやろうかなぁって思って。なんか自分で納得しちゃえば、もう手を離そうと思ったりすると
  きもありますね。
岡崎
やっぱり自分の中にどれだけその目標値を定めるかっていうのは、いろんなジャンルでモノを作って
  る人の中にはあると思う。それがお金になろうがなかろうが、別に。ただカッコイイのは突き詰めた
  いだけ、っていうのはけっこうみんな一緒なんじゃないかな。それが賛同する人が多ければ多いほど、
  やっぱりいいし。でも最終的には自分が満足して、身を引けたら一番理想。けっしてダラダラやる
  のが、俺、カッコイイとは思わないな。それがすべてじゃないからね、その人の。いや、それを観た
  り聴いたりつかんだりして楽しんでる人にとって、それが全てなんだろうけど。本人にとってはそれ
  が、一瞬はすべてなんだろうけど、それで終わりじゃないからね。
   

2004.2.12. 新宿Cafe EAST END COUNTYにて
(インタビュー 下村祥子)


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