全員
カンパーイ。
岡崎
いつもの、にぎやかな司会がいないからなぁ(高橋さんは所用のため、この時間は欠席)。
近藤
最初に“ピールアウトと松村さんの出会い”からということで。たぶんきっかけは、僕が松村さん
にCDを送ったのが…。
松村
いやいや、僕は昨日思い出してみて、初めて会ったのを覚えてます。あのね、T-REXトリビュート
(「“Boogie with the Wizard”A TRIBUTE TO MARK BOLAN&T.REX」ちわきまゆみsings
with PEALOUTとして一曲参加。1997年11月21日リリース)のパーティがあったんだよ、西麻布
のイエローで。僕もちょっと行って、そんときに近藤くんから声かけられたの。僕はその後に約束
があったんで、二言三言ほんと挨拶ぐらいで別れちゃったんだよね。その次に渋谷NESTで、ちわき
まゆみのライブがあって。
近藤
うちらも出たとき。
岡崎
出たね(1998年2月2日。ちわきまゆみをボーカルに迎えての2曲を含む、8曲を演奏)。
松村
たぶん、そのとき僕はピールアウトは観てないと思うんだけど、その打ち上げで近藤くんに
「『ハード・デイズ・ナイト』の最初のコード名はなんだ?」と訊いたんだよね。G16とか、なん
かそんなの。それで近藤くんは「僕はわかんないけど、うちのギタリストはわかる」と言って…。
岡崎
俺もわかってないんだよね(笑)。押さえ方ヘンなんだよ、凄い複雑な。なんだっけなぁ?
松村
岡崎くんのところに行って、二人でごそごそしゃべってて。で、岡崎くんが「あれは誰なんだ?」
って「いや、松村雄策っていうヤツなんだ」、「オマエは知ってんのか?」「このあいだどっかの
パーティで会ってどうのこうの…」と近藤くんとやっているのが、俺には岡崎くんが怒ってるよう
に見えて(笑)。
近藤
あはは(笑)。
岡崎
違う違う違う! 俺、松村さんの名前だけは頭に入ってたの、ライターとしてのね。だから「え?
あれが松村さんなんだ?」ってことを確認してたの。
近藤
でも松村さん的には怒ってるように(笑)。
松村
あの人、俺のこと怒ってんのかな、怖いなぁって(笑)。
岡崎
逆にね、ちょっと俺もかまえて緊張しちゃったんだ。松村さんと言えば“ロッキンオンでビートル
ズのことを書いてる人”ってイメージがあったから「マジでマジで?」って。
松村
たぶん最初はそれだと思うんだよね。あんときは、まだメジャーデビューしてないのかな?
近藤
してないですね、まだ。「APRIL PASSENGER」が出た頃ですね。その後かな、僕が松村さんに
手紙を書いて、CD送って聴いてもらって。
松村
で、メジャーデビューしてから、ライブを観にいくようになった、というカンジですね。
岡崎
俺、もともと近藤くんは、その前にどっかで知り合う接点があったのかな?と思って。ライター
じゃなくて、作家としても凄かったって聞いてたからさ。
近藤
いやぁ僕は単純にずっとファンで。今日ちょっと本を持ってきたんですけど…後でサインしてもら
おうかな〜と思って(笑)。
松村
わたしもサインしてもらおうと思って「WILL」を持ってきたんだけど(笑)。
岡崎
なんなのー(笑)。
近藤
僕が最初に松村さんの原稿を読んだのが、ジョンレノンが死んだとき(1980年12月)の次の号だ
から、81年の1月号か2月号かな。そのとき僕、初めてロッキンオンを買ったんです。それに松村さ
んが書いた追悼の文があって、そっからいままでの松村さんの原稿は全部読んでると思うんです
よ。で、その次の年ぐらいに、松村さんの70年代の原稿をまとめた、この「アビイ・ロードからの
裏通り」が出て。
岡崎
貸してね(笑)。
近藤
これ、俺が高1のときに買って、高校のときかなり読んでて。もう凄い古くなるぐらい読んでて、受
験勉強してるときにもずーっと読んでて(笑)。なぜこの本をずっと読んでたかって言ったら、僕
はビートルズを聴いてロックを知ったじゃないですか。この本は、俺にとって文章とロックが結び
付いた本なんです。文章を読んだだけで凄くロックなカンジになれるっていうか、音が聴こえるっ
ていうか。だから松村さんと知り合えたとき、すーごくうれしくて。一番うれしかったのが、ロッ
キンオンのレコ評で松村さんにピールアウトを取り上げてもらったときと、松村さんのページに
ピールアウトの名前が載ったとき。あぁ!これはもう永久保存版だ!!と思って(笑)。「WILL」
のときも2ページ書いてもらって、もう〜〜(笑いが止まらない)。
岡崎
俺、それもミュージシャンとしてうれしいんだけど、松村さんの本があるでしょ「それがどうした
風が吹く」。途中に僕らの名前が出てくる、しかも単体で名前を呼ばれてるっていうのが、物凄く
不思議な感覚だったね。普通、本なんて家で読むだけのものに、自分の名前が出てくるってことが。
近藤
ねぇ。だからそっから、こうやって飲んだりライブ来てもらったり。凄く不思議。


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今回、PEALOUT WEB SITE、及びピールアウトシネクラブの企画として「ロッキング・オン」でお馴染みの松村雄策氏をお迎えして対談を行いました。ピールアウトと松村氏との付き合いは97年以来もう6年になります。松村氏にはワンマンやフジロック等数多くのライヴを観てもらっており、松村氏の原稿にピールアウトの名前が出てきた時には凄く感激していた3人。
今回は、出会いからピールアウトについて、はたまた話題は野球までと、4人で語っております。
(なお、この対談の番外編はピールアウトシネクラブの会報24号に掲載しています。)

松村 雄策(まつむら・ゆうさく)
1951年、東京都生まれ。1972年8月、渋谷陽一らとともに「ロッキング・オン」を創刊。音楽評論と並行してミュージシャンとしての活動も行なう。また1987年には、書き下ろし長編小説「苺畑の午前五時」(筑摩書房)を発表、話題を呼んだ。現在もロック、特にビートルズ評論の第一人者として活躍中。主な著書として「アビイ・ロードからの裏通り」(ちくま文庫)、「リザード・キングの墓」、「悲しい生活」(いずれもロッキング・オン)、「それがどうした風が吹く」(二見書房)などがある。

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